Won. Studio

Fable 5.1 入門

ツール約9分

どれを選ぶか

ふだん使いと、切り札を分ける

新しいAIが出るたびに、「今までのをやめて、これに全部乗り換えたほうがいいですか」と聞かれます。答えは、いいえ、です。

Fable 5.1(フェイブル/文章を読んで考えてくれるAI)は、2026年9月に出た新しいAIです。よく考えてくれるかわりに、答えが遅く、値段も高い。ですから「毎日これ一本」ではなく、「ここぞの一手」として置くのが正解です。新しく入った人が3人いて、そのうち一人がとても丁寧だけれど時間もお金もかかる、という状況を思い浮かべてください。全部その人に頼んだら、仕事は回りません。

この記事では、ふだんの仕事をどれに任せ、どこでFable 5.1を呼び出すのかを決めます。あわせて、値段の見方、乗り換えたときに急に通らなくなる頼み方、「返事が遅い」の正体まで順に見ていきます。むずかしい言葉は使いません。

選び方の結論

最初に答えを言います

ふだんはOpus 5、難所だけFable 5.1

  • ほとんどの仕事は Opus 5 で足ります。まずはそこから始めてください。
  • Opus 5 に念入りに考えさせても届かないときだけ、Fable 5.1 に切り替えます。
  • 長く手数のかかる仕事や、込み入った調べ物。そこが Fable 5.1 の持ち場です。

Opus 5(オーパス/ふだん使いのAI)は、値段も速さもちょうど真ん中です。会議の記録を短くまとめる、メールの下書きを作る、資料の言い回しを整える。この手の仕事なら、これで十分に終わります。

では「届かない」とは、どういう状態でしょうか。目安は簡単です。同じ頼みごとを2回か3回やり直させても、抜けが直らない。あるいは、こちらが直しの指示を出すたびに、別のところが崩れる。そうなったら、頼み方が悪いのではなく、力が足りていない合図です。そこで初めてFable 5.1に持っていきます。

下の図は、その線引きを一枚にしたものです。上が毎日の持ち場、下がここぞの持ち場だと思ってください。

選び方の結論
ふだん用と切り札の線引きを見る

選び方の目安を見る

公式の説明ページ

どの仕事にどれを使うか、目安をここで確かめる

AIを作っている会社は、「どの仕事にどれが向いているか」を説明したページを出しています。人づてのうわさや、SNSで流れてくる評判より、まずこちらを見てください。作った本人が書いているぶん、外れが少ないからです。

見るところは一つだけで構いません。「長くて手数の多い仕事」と書かれているものが、いちばん重いAI。「速さと量」と書かれているものが、いちばん軽いAI。あなたの今日の仕事がどちらに近いかで選びます。迷ったら軽いほうから試して、足りなければ上げる。この向きで動かすと、お金も時間もむだになりません。

3つの値段を並べる

値段は文章100万かたまりごと。読ませた分と書かせた分で決まります

  • Fable 5.1|読ませる10ドル、書かせる50ドル
    いちばん高い。そのぶん、長い仕事を最後までやり切る力があります。
  • Opus 5|読ませる5ドル、書かせる25ドル
    ちょうど半分の値段。速さも中くらい。ふだんの仕事はここで足ります。
  • Sonnet 5|読ませる2ドル、書かせる10ドル
    いちばん安くて速い。量をこなす作業や、急ぎの下書きに向きます。

ここでの「かたまり」とは、文字のまとまりのことです。100万かたまりというのは、ふだんの一往復ではまず届かない量なので、「一回で1万円かかる」といった話ではありません。ただ、毎日たくさん使う職場では、じわじわ効いてきます。

大事なのは、値段が二段構えだということです。読ませた分より、書かせた分のほうが5倍高い。つまり、長い資料を渡すこと自体より、長い返事を求めることのほうが高くつきます。「A4一枚で」「箇条書きで5つ」と、出す量を先に指定する。それだけで費用は下がります。

3つの値段を並べる
3つの値段の差を上下で見比べる

細かい値段を確かめる

値段の一覧ページ

まとめて頼むと半額になる仕組みも、この一覧で確かめる

急ぎでない仕事は、「今すぐでなくていいので、まとめて片づけておいて」と頼むことができます。この頼み方にすると、値段が半分になります。翌朝までに仕上がっていればいい仕事、たとえば大量の問い合わせ文を分類しておく、といった作業と相性がいい。値段の一覧ページには、その条件が書かれています。

下がったのはここ

値段の話で、いちばん効く変化

同じ資料の渡し直しが4分の1に

  • 毎回おなじ手順書を読ませる使い方なら、2回目からの費用がぐっと下がります。
  • 読ませる分と書かせる分の値段は、前の世代とまったく同じ。据え置きです。

ここは少し補います。AIには記憶がないので、毎回いちから事情を説明しなければなりません。社内のルール集、書き方の見本、用語の一覧。こうしたものを、頼むたびに丸ごと読ませ直すことになります。新しく入った人に、朝いちで毎回おなじ引き継ぎ書を最初から読ませているようなものです。

その渡し直しのぶんが、4分の1になりました。だから得をするのは、同じ資料を毎日使い回す人です。逆に、毎回まったくちがう文章を一回ずつ投げる使い方では、この割引はほとんど効きません。自分がどちらの使い方をしているか、いちど思い返してみてください。

乗り換えるときの注意

これまでのやり方が通らない点

ここからが、この記事でいちばん大事なところです。Fable 5.1は、前の世代と同じ頼み方をすると、途中で止まったり、断られたりします。壊れているのでも、あなたの書き方が下手なのでもありません。作りが変わったのです。

通らなくなる3つ

前の世代と同じ頼み方だと止まります

決め打ちは不可

「必ずこの道具を使って」という指定は断られます。お願いする形に直します。

直し方は簡単です。「必ず表計算の道具で計算すること」と書いていたなら、「計算が必要なところは、表計算の道具を使ってください」に変える。命令ではなく、依頼の形にする。それだけで通ります。

メモは持ち出せない

考えた過程のメモは、前の世代のAIには読めません。途中で乗り換えないことです。

やりがちな失敗が、これです。Fable 5.1に長く考えさせて、途中で「遅いから」と別のAIに続きを頼む。すると、それまで積み上げた考えの筋道が引き継がれず、話が振り出しに戻ります。一つの仕事は、一つのAIで終わらせてください。

あと出しの修正

前のやりとりを書き換えると、それまでのメモは使えなくなります。

途中で「さっきの指示、やっぱりこう変えて」と前の発言をさかのぼって直すと、そこまでの考えが無効になります。方針が変わったときは、書き換えるのではなく、新しく頼み直すほうが早く済みます。

通らなくなる3つ
断られる頼み方の3つの型

乗り換えの手順を見る

移行の説明ページ

前の世代から移るとき、何を直すかをここで確かめる

会社側は、移るときに直す箇所を一覧にしたページを出しています。自分で頼み方の文章を用意している人は、まずここを開いて、「必ず」「絶対に」といった強い言い切りが混ざっていないかを見てください。多くの場合、直すのはその数か所だけです。

乗り換えの手順を見る
直す箇所が並ぶ移行の説明

便利になった4つ

上の3つは、まだお試し中の機能です

  • 考える力の入れ具合を、途中で変えられる
    軽く流すところと、念入りに考えるところ。会話の途中で切り替えられます。
  • この一往復だけの指示が出せる
    「今回だけはこうして」と、その場限りの注文を足せます。全体の決まりはそのまま。
  • 作業の途中経過が読める
    長い作業の間、いま何をしているかが人の言葉で出ます。待つ不安が減ります。
  • 書いた文章に印が残る
    その文章をどのAIが書いたのか、あとから確かめられる仕組みが入りました。

一つめは、下ごしらえは軽く、仕上げは念入りに、という使い分けができるということです。二つめは、いつもの決まりごとを崩さずに「今回だけは丁寧語で」と足せる、ということ。三つめは、待っている間に「いま資料を読んでいます」と教えてくれるので、固まったのか動いているのかが分かります。

ただし、上の3つはまだお試し中の機能です。ある日、動きが変わることがあります。仕事の手順そのものをこの3つに寄りかからせず、「あれば助かる」くらいで付き合うのが安全です。

便利になった4つ
増えた4つ、上の3つはお試し中

新しくなった点を見る

変更点のまとめページ

通らなくなる点と、増えた点をこの1ページで確かめる

今日の話は、通らなくなる点と増えた点の両方が、公式の1ページにまとまっています。細かい設定の話も並んでいますが、全部を読む必要はありません。「今までのやり方が使えなくなる」と書かれた欄だけ拾えば、当面は困りません。

遅さには理由がある

考えてから答える作りです

必ず考える

答える前に考える工程が、いつも入ります。止める設定はありません。

初期は念入り

最初から深く考える側に寄っています。そのぶん、答えは遅くなります。

軽くもできる

急ぎのときは、浅く考えるように指定できます。速さは戻ってきます。

ここでのつまずきは、決まって同じです。返事が始まらないので、壊れたと思って途中で止めてしまう。じつは考えている最中で、あと少し待てば答えが出るところだった、という取りこぼしがよく起きます。

手が空かないのが困るなら、頼み方でこう分けてください。急ぎの下書きは「軽く考えて、すぐ出して」。大事な資料は「時間をかけていいので、念入りに」。同じAIでも、この一言で速さは変わります。

使う前に、この3つ

知識・寿命・得意分野

知識は6月まで

2026年6月までを知っています。それ以降の話は、こちらから資料を渡します。

1年は続く

2026年9月に登場。少なくとも2027年9月までは使い続けられます。

長丁場に強い

書類づくりや表の整理、資料作りなど、手数の多い仕事で力を出します。

知識の締め切りは、いちばん事故になりやすい点です。今年の夏より後に決まった制度や、先月出た新しい規定は、そもそも知りません。知らないのに、それらしく答えてしまうこともあります。新しい話をさせるときは、必ずこちらから資料を渡す。これを癖にしてください。

使える期間が1年先まで示されているのも、地味ですが効きます。業務の手順に組み込んでも、来月いきなり使えなくなる心配は要らない、ということです。

使う前に、この3つ
知識の締め切りと使える期間

今日のまとめ

明日からの決め方

  • ふだんは Opus 5。難所だけ Fable 5.1 に頼る
  • 読ませる10ドル、書かせる50ドル。安くはない
  • 同じ資料の渡し直しは4分の1。使い回すほど得
  • 決め打ちの指定は不可。考えのメモも持ち出せない
  • 力の入れ具合を途中で変え、経過を見ながら任せる

明日、手を動かすことはこれだけです。

  • ふだんの仕事を Opus 5 に固定し、まずはそこで回してみる
  • いま使っている頼み方の文章から、「必ず」という言い切りを探して、お願いの形に直す
  • 毎回おなじものを読ませている資料を1つ選び、使い回す形にそろえる
  • 返事が遅くても、途中で止めない。急ぎのときだけ「軽く考えて」と添える

最後に

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