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指示の書き方の基本

基礎約7分
指示の書き方の基本

指示は「機械への命令」ではなく「仕事の頼み方」

ChatGPT(文章づくりを手伝う道具)のような相手に何かを頼むとき、多くの人は「できるだけ詳しく書かなければ」と考えます。もちろん、必要な情報は大事です。ですが、うまく伝わらない理由は、情報の少なさよりも並べる順番のまずさにあることがよくあります。

これは、新しく入った人に仕事を頼む場面とよく似ています。最初に「何のための仕事か」が分からないまま細かい注意だけを並べられると、相手は手を動かしにくくなります。逆に、先に目的とゴールが分かれば、多少説明が短くても動きやすくなります。

つまり、よい指示は長い文章ではありません。相手が最初に知るべきことから順に置かれた文章です。長さを足す前に、順番を整える。それだけで返ってくる内容はかなり安定します。

最初に置くべきものは、細かい条件ではない

指示を書くとき、つい先に書いてしまうのが細かい条件です。文字数、言い回し、入れてほしい項目、避けたい表現。これらは大切ですが、先頭に来るべきではありません。先に必要なのは、「何を作ってほしいのか」と「誰に向けたものか」です。

たとえば、社内のお知らせ文を作ってほしいのか、お客さま向けの案内文を作ってほしいのかで、言葉づかいは大きく変わります。ここが抜けたまま条件だけを並べると、相手はどの立場で書けばよいか分からず、無難でぼんやりした文章を返しやすくなります。

まずは次の四つを先に置くと、指示が通りやすくなります。

  • 何をしてほしいか:要約してほしい、案内文を書いてほしい、見出しを考えてほしい、など
  • 誰に向けたものか:社内向け、初めてのお客さま向け、上司向け、など
  • どういう形で出してほしいか:箇条書き、短い文章、見出しつき、やさしい言葉で、など
  • 外してほしくないこと:入れてほしい点、避けたい言い方、使わない言葉、など

この四つが先に見えるだけで、相手は「どこを目指せばいいか」をつかみやすくなります。細かい注文は、そのあとで十分です。

長く書くより、順番をこの形にそろえる

迷ったら、指示は次の順で並べてみてください。これは特別な技ではありません。仕事の引き継ぎ書と同じです。先に全体像を伝え、そのあとで条件を足していく。これがいちばん自然です。

順番の基本は、「目的 → 誰向けか → 出してほしい形 → 入れてほしいこと → 避けたいこと → 迷ったときの優先順位」です。最後の「優先順位」があると、条件どうしがぶつかったときに、相手が勝手に迷走しにくくなります。

  • 目的:何を作るか。何のためか
  • 誰向けか:読む人、使う人はどんな人か
  • 出してほしい形:文の長さ、箇条書きか、見出しが必要か
  • 入れてほしいこと:必ず触れてほしい内容
  • 避けたいこと:専門的すぎる言葉、強い言い方、断定しすぎる表現など
  • 優先順位:読みやすさを最優先、正確さを優先、短さを優先、など

たとえば、次のように並べると伝わりやすくなります。

会議のお知らせ文を作ってください。社内の全員向けです。仕事が立て込んでいる人でもすぐ読めるよう、短い文章でお願いします。日時、場所、参加の返事が必要なことを入れてください。堅すぎる言い方は避けてください。迷ったら、丁寧さより分かりやすさを優先してください。

この例は長くありません。それでも必要なことが先に見えます。逆に、同じ内容でも順番がばらばらだと、読む側は何を一番大事にすればよいか分からなくなります。

うまくいかないときは、足す前に「欠けている場所」を探す

返ってきた内容がずれていたとき、多くの人は説明をどんどん足します。ですが、その前に見てほしいのは、どこが欠けていたかです。たいていは、文章量の不足ではなく、場所の不足です。つまり、入れるべき情報が抜けていたか、後ろに回っていたかです。

よくあるずれ方には、はっきりした型があります。読み手が見えていない、出し方が曖昧、避けたいことが最後まで出てこない。この三つです。ここを直すだけで、同じ頼みごとでもかなり扱いやすくなります。

返ってきた内容が気に入らないときは、次の観点で見直してください。

  • 思ったより固い:誰向けかが抜けていることが多い
  • 長すぎる:出してほしい形が曖昧なことが多い
  • 大事な点が入っていない:入れてほしいことが後ろすぎることが多い
  • 余計な話が増える:避けたいことが書かれていないことが多い
  • 全体は合っているのに惜しい:何を優先するかがないことが多い

直すときは、最初から全部書き直さなくてかまいません。先頭の一文を直すだけでも効果があります。たとえば、「この文章を直して」より、「初めて読むお客さま向けの案内文として直して」のほうが、相手の立ち位置が決まりやすくなります。

やってはいけないことは、「分かっている前提」で頼むこと

いちばん避けたいのは、こちらの頭の中にある前提を、相手も知っていると思ってしまうことです。人に仕事を頼むときでも、「いつもの感じで」「前と同じで」「いい感じに」は危険です。普段の会話なら通じても、文章で頼む相手には通じにくくなります。

また、ひとつの文にたくさん詰め込みすぎるのも失敗のもとです。目的、条件、例外、気分、背景が一文に混ざると、何が中心なのか見えなくなります。短く切って、順番に置いたほうが伝わります。長文そのものが悪いのではありません。整理されていない長文が悪いのです。

次のような頼み方は、できるだけ避けてください。

  • 背景だけ長く、何をしてほしいかが最後まで出てこない
  • 「分かりやすく」「やさしく」だけで、誰に向けるかがない
  • あとから条件を次々に足し、最初の目的が変わってしまう
  • 一度に何種類もの仕事を頼む
  • 前の返答の不満だけを伝え、次にどうしてほしいかを書かない

特に気をつけたいのは、条件の後出しです。最初に「短い案内文を作って」と頼んだあとで、「やはり上司向けで、少し丁寧にして、説明も厚めに」と足していくと、指示がぶれます。途中で方向が変わるなら、足し算よりも、最初から並べ直したほうが早くて正確です。

一回で決めようとせず、下書きの直し方で進める

指示は、一発で完璧に書くものではありません。最初は短くてもかまいません。大事なのは、戻ってきた内容を見て、どこを直すかをはっきりさせることです。これは、部下や同僚の下書きを直す作業と同じです。「全部だめ」ではなく、「誰向けかを先に」「この点は必ず入れる」と直していくほうが、早く整います。

そのためには、最初の頼み方も「試しに出してもらう」気持ちで書くと楽です。いきなり完成品を求めるより、まず方向が合っているかを見る。方向がずれたら、文章量を増やすのではなく、先頭の順番を直す。この考え方が基本です。

もし何度か試しても合わないなら、自分が本当に欲しいものを、ひとことで言えるか確かめてください。「案内文が欲しい」のか、「反対されにくい説明が欲しい」のか、「短く言い換えてほしい」のか。ここが曖昧だと、指示はいくら長くしてもぶれます。

よい指示とは、立派な文章ではありません。相手が動きやすい順番で、必要なことが置かれている文章です。まず目的を先に。次に誰向けか。細かい条件はそのあと。これだけでも、明日からの頼み方はかなり変わります。

まとめ

指示が伝わらないとき、原因を「説明不足」と決めつけないでください。足りないのは文章量ではなく、並べ方かもしれません。長く書くより、先に置くものを変える。そのほうが効く場面は多くあります。

まずは難しく考えず、仕事の頼み方として見直してみましょう。新人に渡すメモのつもりで書けば、必要な順番が見えてきます。明日は次のことから始めてください。

  • 最初の一文に「何をしてほしいか」を入れる
  • 次の一文で「誰向けか」をはっきり書く
  • 細かい条件は後ろに回し、必須の内容だけ先に残す
  • 返ってきた内容がずれたら、長く足す前に順番を見直す
  • 「いい感じに」「いつもの感じで」は使わない

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