Coworkとプラグイン
部署ごとの担当にする
同じAIに、仕事のやり方を持たせる。きょうの話は、つきつめるとこれだけです。
いまAIを仕事で使っている人の多くは、毎回ゼロから頼んでいます。「この資料をまとめて」「この文章を直して」。頼み方は人それぞれで、うまい人とそうでない人の差が、そのまま出来上がりの差になります。同じ部署でも、隣の席の人がどう頼んでいるかは分かりません。うまくいった頼み方が、その人の手元にとどまったままになる。これがいちばんもったいないところです。
そこで、部署ごとに決まった型で頼めるようにします。新しく入った人に仕事を渡すとき、口頭でひととおり話すのではなく、引き継ぎ書と道具箱を渡しますよね。あの渡し方を、AIに対してやる。そう考えてください。
新しく覚える言葉はこれ1つ
プラグインは、仕事の型の一式
- 新しく入った人に、引き継ぎ書と道具箱をまとめて渡す。あの感覚に近いものです。
- 人事なら人事の、金融なら金融の進め方が、最初から中に入っています。
- 入れ替えれば、同じAIがそのまま別の部署の担当になります。
ここでよくある誤解が「部署の数だけAIを買い直すのか」というものです。そうではありません。AIは1つのままです。中に入れる仕事の型だけを差し替えます。手伝いに来てくれた人に、きょうは人事の引き継ぎ書を、あすは経理の引き継ぎ書を渡す。それと同じことをしているだけだと思ってください。
そして「一式」という言葉が大事です。頼み方の見本だけでもなく、道具だけでもない。決まった手順、参照する資料の置き場、つなぐ相手。それがひとまとめになって渡されます。だから受け取った側は、何から手をつけるかを考えずに済みます。

そろっている型の例
ありがたいことに、よく使われる職種の型は、はじめから用意されています。ゼロから考える前に、まずここを見てください。代表的なものを4つ挙げます。
人事:採用の文書から評価まで
内定の通知文、入って最初の一か月の計画、評価の下書きまで手伝います。毎年ほぼ同じ形で書くのに、毎年ゼロから書き起こしている文書が、人事にはたくさんあります。そこがまるごと対象になります。
デザイン:見直しと文章の下書き
確認すべき観点を整理し、画面に出す短い文章の案を作ります。「見落としがないかの確認表を、毎回自分の頭の中で作っている」という人に向いています。
事業運営:手順書と取引先の比較
仕事の進め方を文書に残し、取引先の評価や変更依頼の管理を助けます。頭の中にしかない手順を、外に出す作業だと考えてください。
金融:調べものから資料作りまで
市場や競合を調べ、数字をまとめ、発表資料の下書きまで進めます。調べる、まとめる、見せる。この3つが1本につながるのが特徴です。

型は選ぶ前に中身が見える
「使ってみないと分からない」では困りますよね。安心してよいのは、選ぶ前に中身を開いて確認できることです。人事の型なら、人事の型のページを開けば、何をしてくれるものかが並んでいます。
見るときの判断のしかたは、ひとつだけで十分です。そこに書かれている仕事のうち、自分が今月やった仕事がいくつあるか。3つ以上重なっていれば、まず入れてみる価値があります。ゼロなら、その型はあなたの部署のものではありません。次を見ましょう。

作って、全社に配る
用意されている型に、自分の職種がないこともあります。あっても、自社のやり方とは少し違うこともあります。そのときは自分で作って、自社だけの置き場に並べて渡します。
型を用意する手順
順番はこの3つです。ここから外れる必要はありません。
1つ目:近い見本を選ぶ。自分の職種に近い見本を選びます。ゼロから作ることもできます。ただし、はじめての人にはおすすめしません。近いものを土台にして直すほうが、はるかに早く仕上がります。
2つ目:質問に答える。Claude(対話しながら仕事を手伝ってくれるAI)が順に聞いてくるので、自社のやり方を答えていくだけです。文章の書き方を考える必要はありません。面談で聞かれたことに答える感覚に近いです。
3つ目:置き場に並べる。できた型を自社だけの置き場に並べ、みんなが取れるようにします。ここまでやって、はじめて「配った」ことになります。自分の手元に作って終わりにしないでください。
つまずきやすいのは2つ目です。質問に答えるとき、きれいな建前を書いてしまう人がいます。実際にはやっていない手順を書くと、その通りに動いてしまい、あとで直す手間が増えます。今のやり方を、そのまま答えてください。理想の手順に直すのは、動き出してからで間に合います。

配る側が決められること
会社としてそろえる側、つまり配る立場の人が決められることは4つあります。
自社だけの置き場を持つ。社外には出さず、自分の会社の中だけに型を並べておけます。自社の言い回しや取引の進め方が入った型を、外に出さずに使えます。
誰が使えるかを分ける。人ごとに、使ってよい型を選んで渡せます。人事の評価にかかわる型を全員に配らない、といった分け方ができます。
最初から入れておく。全員に自動で入れておけるので、各自が探す手間がいりません。ここが効きます。「置き場から自分で取ってきてね」と案内した瞬間に、半分の人は取りに来なくなります。
使った量と費用が見える。記録のしくみ(OpenTelemetry。使われ方の記録を集めるための共通の決まりごと)に対応し、誰がどれだけ使ったか追えます。

何がどう変わるか
使う人から見ると、変わるのは次の3点です。
これまでは人ごとにやり方が違いました。これからは会社で型がそろいます。これまでは頼み方を毎回考えていました。これからは選んで埋めるだけになります。これまでは置き場を探し回っていました。これからは最初から入っています。
この3つは、順番にも意味があります。型がそろうから、頼み方を考えずに済む。考えずに済むから、探し回る理由もなくなる。上から順に片づいていくと思ってください。

使う側の変化
頼み方は、空欄を埋めるだけ
- 「報告書を作る」のような決まった頼みごとが、記入用紙の形で開きます。
- 文章の書き方を覚えなくても、必要な欄を埋めれば動き出します。
- 画面には、会社のロゴや色を反映させることもできます。
ここが、覚えることを減らす一番のポイントです。社内の申請書を思い出してください。書き方の教本は誰も読みませんが、申請書は埋められます。欄があるから埋められるのです。AIへの頼み方も、それと同じ形にしてしまう、ということです。
ほかの道具とつなぐ
毎日使う道具のまま、続けて任せられるようにもなりました。つなぎ先のことをコネクタ(他の道具とつなぐ差し込み口)と呼びます。名前は覚えなくてかまいません。「つなぐ相手が増えた」とだけ思ってください。
予定とメール
カレンダー、Drive(書類を置いておく場所)、Gmail(メールの道具)。日々の連絡や書類とつながります。
契約と手続き
Docusign や LegalZoom(どちらも契約や書面の手続きを進める道具)など、契約まわりの道具ともつながります。
調査と数字
Similarweb や FactSet(どちらも市場や企業の情報を調べる道具)など、調べもの向けの道具も選べます。
つなぎ先は、選ぶ前に一覧で確かめられます。まず見てほしいのは、自分の会社がふだん使っている道具が並んでいるかどうかです。並んでいなければ、その道具については今までどおりで問題ありません。全部つなぐ必要はまったくないので、よく使う1つか2つから始めてください。

表計算から資料作りまで
アプリをまたいで作業が続くようになったのも大きな変化です。Excel(表計算の道具)では、数字を集計して、その中身を読み取るところまで手伝います。PowerPoint(発表資料を作る道具)では、Excel で調べた内容をそのまま引き継ぎ、発表資料にまとめます。
これまでは、集計した結果を自分で読み取り、자分で要点を書き直して資料に移していました。その移し替えがなくなる、と考えてください。
ただし、まだお試しの段階です。先行して公開された状態で、Mac と Windows の有料プランで試せます。使い始めるには、表計算で使う追加の機能を、自分のパソコンに入れる必要があります。入口のページが用意されているので、そこから進めます。ここは設定にあたる作業なので、社内で詳しい人に一度お願いしてしまうのが早いです。

きょうのまとめ
明日からできることに絞ると、次のとおりです。
- プラグインは、部署ごとの仕事の型の一式です。まずこの言葉だけ覚えてください
- 用意されている型を開いて、自分が今月やった仕事といくつ重なるかを数えます
- 見本を選び、質問に自社の今のやり方で答えれば、自分の部署の型が作れます
- 作った型は自社だけの置き場に並べ、最初から全員に入れておく形で配ります
- 頼み方は空欄を埋めるだけ。覚え直しは不要です。表計算の結果は、そのまま資料作りに引き継げます
ひとつだけ選ぶなら、2つ目です。型の中身を開いて、自分の仕事と重なる数を数える。これは5分で終わります。そこで手が止まらなければ、あとは順番に進むだけです。
最後に
フォローといいね、お願いします
AI図書館では、AIを仕事で使う話を、やさしく1本ずつ出しています。次の回もここで会いましょう。
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