Claude Codeの型
この道具の入口と、守るたった一つの原則
今日ずっと付き合う相手を、先に見ておきます。Claude Code(クロード・コード。文字で用件を書いて渡すと、そのとおりにプログラムを書いてくれる道具)です。難しい操作はありません。画面に文字を打って渡すと、返事が返ってくる。入口はそれだけです。
ところが、入口が簡単すぎることが、そのまま落とし穴になります。思いついた用件をそのまま投げる。返ってきたものを見て「そうじゃない」と言う。また投げ直す。この往復が終わらなくなる。うまくいかない人のほとんどが、ここで時間を溶かしています。

この回で守ってほしいことは、たった一つです。先に決める、後で作る。言い換えると、考える人と、手を動かす人を分けるということ。考える役は自分、手を動かす役はAI。この線を引くだけで、結果がまるで変わります。
計画を自分が直すまで、作らせない
新しく入った人に仕事を頼む場面を思い浮かべてください。いきなり「やっといて」とは言わないはずです。まず段取りを紙に書かせて、それを読んで、違うところに赤を入れて、それから着手してもらう。相手がAIでも、やることは同じです。違うのは、AIは黙っていると段取りを飛ばして走り出す、という一点だけです。
全体の流れは、4つだけ
覚えることは多くありません。次の4つを、この順番で回します。順番を入れ替えないでください。順番こそが中身です。
1. 深く読ませて、調べた結果を書き出させる
いま何がどうなっているのかを、まず調べさせます。大事なのは、分かったことをその場の会話ではなく、ファイルに残させること。会話は流れて消えますが、ファイルは後から読み返せます。
2. 作り方の計画を、別のファイルに書かせる
「どこを、どう変えるか」を、作る前に文章で出させます。ここで出てくるのは、まだ設計図です。物ではありません。
3. その計画に自分でメモを入れて、直させる
ここが本番です。納得できるまで、何度でも往復します。この記事でいちばん時間をかけてほしい場所も、ここです。
4. 納得してから、まとめて作らせる
決め終わったあとなので、あとは手を動かすだけになります。指示は驚くほど短くて済みます。

立ち上げたら、まず深く読ませる
道具を立ち上げると、すぐ何か頼みたくなります。そこをこらえます。立ち上げても、いきなり作らせない。まず読ませる。最初の一手をここに使えるかどうかで、あとの全部が決まります。
そして、読ませ方には言葉のコツがあります。頼む言葉が弱いと、AIはざっと目を通しただけで「分かりました」と返してきます。悪気があるわけではなく、その程度で十分だと判断しただけです。言葉を強くするだけで、返ってくる中身の濃さが変わります。
- 「読んでおいて」ではなく、「深く読み込んで」
- 「まとめておいて」ではなく、「細部まで全部つかんで」
- 「この場で返して」ではなく、「報告書として残して」

三つめの「報告書として残して」が、特に効きます。会話の中で答えさせると、その内容はすぐ流れていきます。ファイルに書かせておけば、自分があとで読めるし、次の段階でAI自身にも読み返させられます。引き継ぎ書を一枚作らせるつもりで頼んでください。
なぜここまでするのか。読ませずに作らせたときの失敗が、いちばん高くつくからです。深く読ませることは、その防波堤になります。
決まり無視
もとからある作りの決まりを、まるごと無視した作り方をしてしまう。あとで直すには、作ったところを全部やり直すことになります。
二重の作り
すでにある処理を、もう一度ゼロから作ってしまう。同じことをする場所が二つできると、片方だけ直して片方が残る、という事故がずっと続きます。
後で効く
その場はちゃんと動く。だから合格に見える。数週間後に、まったく別の場所が壊れて、やっと気づく。これがいちばん厄介です。

計画に赤を入れる、この往復がすべて
調べ物が終わったら、次は作り方の計画を書かせます。そして、その計画を自分の判断で書き換えます。ここが、この進め方でいちばん大事な場所です。
コツは一つ。会話で説明しようとせず、文書の場所を指して直すこと。「さっきの三つめの話だけど…」と口で説明すると、どこのことか伝わらず、ずれた直し方が返ってきます。文書の、その行のすぐ横に書き込む。それだけで通じます。
1. AIが計画の文書を書く
どう作るかを、文章として先に出させます。
2. 自分がその文書に、直接メモを書き足す
気になった行のすぐ横に、短くていいので書き込みます。下書きに赤ペンを入れる感覚です。
3. メモを入れたと伝えて、直させる
「メモを全部反映して、文書を直して」と頼みます。長い説明は要りません。
4. 納得するまで、2と3を繰り返す
1回で終わることもあれば、何度も回すこともあります。回数は気にしないでください。

「どんなメモを書けばいいのか分からない」という声をよく聞きます。長さは自由です。二言だけでも、一段落でもかまいません。書く中身は、だいたい次の三つに収まります。
思い違いを直す
前提が間違っている所に「そこは違う」と書く。理由まで書ければ、なお良いです。
やり方ごと断る
この部分は要らない、と丸ごと断る。遠慮する必要はありません。
事情を足す
AIには分からない、こちら側の事情や決まりを伝える。社内の約束事、過去の経緯、外せない条件。これは自分にしか書けません。
そして、往復のたびに必ず添える一文があります。これを書き忘れると、AIは「もう十分だろう」と判断して、勝手に手を動かし始めます。
まだ作らないで
- これが無いと、直すだけのつもりが、そのまま作り始められてしまう
- 十分かどうかを決めるのは、AIではなく自分

この段階でやることは、直させることだけです。作らせるのは、納得したあと。ここを我慢できるかどうかが、この進め方が身につくかどうかの分かれ目です。
納得してから、一気に作らせる
計画に納得できたら、ようやく作らせます。決めることは終わっているので、指示は短くなります。ここから自分の役割は、設計する人から見張る人に変わります。
止めない
「全部やり切って、終わった項目には印を付けて」と、最初に伝えます。途中で確認を求められて止まると、そのたびに自分の手が要ります。走り切らせてから見るほうが速いです。
見張る
横で進み具合を眺めて、気づいた点を短く投げるだけ。細かく口出しはしません。設計は終わっているのですから。
戻す
方向が違ってきたら、上から継ぎ足して直そうとしないこと。丸ごと前の状態に戻して、頼む範囲を狭めて出し直します。ずれた土台の上に積むと、あとで全部崩れます。

まとめ:明日からやること
覚えるのは、順番だけです。特別な技も、難しい言葉も要りません。次の5つを、上から順にやってみてください。

- 作らせる前に、深く読み込ませて、報告書をファイルに残させる
- 作り方は、別の文書に先に書かせる。物より先に、文章を出させる
- その文書に自分でメモを入れて、直させる。納得するまで往復する
- 往復のたびに「まだ作らないで」と添える
- 納得してから、一気に作らせて、あとは見張る
最初の1回は、遠回りに感じるはずです。作らせるまでに時間がかかるからです。それでも2回目からは、やり直しが消えた分だけ手応えが変わります。決めてから任せる。それだけの話です。
AI図書館では、AIを仕事で使う話を、やさしく1本ずつ出しています。次の回も、ここで会いましょう。
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